魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語 を観て

劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語を観てから1週間経ちました。
すぐに感想を書くとグダグダな文章になりそうだったので時間を置いたのですが、今書いてみてもやっぱりグダグダ。どうもうまくまとまりません。
後々、読み返して恥ずかしくなりそうですが、書かなくても何か落ち着かないので書いてみます。
ストーリー解説はしませんが、ネタバレが混じります。



私は、今回の映画は、完璧を壊すという視点で読み取りました。
つまり

  • 物語内では、円環の理という完璧を壊す。
  • 作品的には、前作で完璧にまとまっていた構成を壊す。

前作*1は完全にまとまった作品でした。
まとまったというのは、きちんと折りたたんだ作品であり、逆に言うとそこでとまった作品でした。
とまったというのは悪い意味ではありません。ほとんどのものが収まるべき所におさまった状態であり、大団円でした。


ただ、大団円というのはそこから後に発展しないものでもあります。
昔、SF作家の平井和正氏は「ハッピーエンドは物語の死」であると書いています。
すべてが収まるべきところに収まった作品というのは、それ以降に発展しないものだからです。
と、こう書くと、まどかマギカはスピンアウト作品や同人で人気じゃないかと思われるかもしれませんが、そういったものの多くは物語の途中への挿入、つまりほむらのループの途中の話で、物語の終わった後につながるものはあまり見かけません。*2
また、前作時点で作品世界が今後どうなるのかということに関して考察は、ラストシーンのほむらに関する事くらいで他はあまり見かけませんでした。*3


今回の新編は、前作でできあがった世界の完璧さを壊したうえで、さらに意図的に後味を悪くさせるような演出を用いることでハッピーエンドと感じさせないように作られています。
個々の登場人物的には前作ラストよりも状況が良くなった人の方が多いのにです。
そして何より、新編ラスト以降にどうなるのかというのを期待させるつくりになっています。
つまり物語の死から蘇生したと思うわけです。


もちろん、これは関係者の皆さんが何度もおっしゃっていらっしゃるように、賛否両論であると思います。
前作の完璧さを壊す蛇足とみなす人もいらっしゃるでしょうし、商業展開上の都合として前作をだいなしにしたとして不快に思う方もいらっしゃると思います。
逆に、一度とまった作品を再度動かした展開の見事さに賛を送る人もいらっしゃると思います。


私はどちらかというと後者の賛の方だったりします。
一度完全にまとまっていた前作から、個々の登場人物にはブレがない状態で、よくもこう壊しつつ動かしたものだと感嘆しています。
ほむらの行動も、今作の中での描写でどう考えが変わって行ったかが納得いく範囲で、変化はしているがブレは無い状態だったと思います。
逆に、これだけ人気のある前作に対してここまで壊していく、という意味で冒険したなぁという感想を持ちました。
もし最初の案のようにほむらが円環の理に導かれてハッピーエンドだったら、たぶん前作の補足どまりで、ここまで心をかき乱す作品にはならなかったと思います。



やっぱり、まとまらない。

*1:TV放映版、および、総集編映画前後編

*2:私の視野が狭い可能性あり

*3:同上